EasyDriver注意点

(2015.7.1 作成)

 前ページでステッピングモータを使用するにあたりEasyDriverは安価に入手できるのでお奨めと書きましたが、注意点があります。

 EasyDriverへは6.3~30Vまで入力することはできますが、モータードライバ(A3967)用のロジック電源は基板上のIC2(LM317)で作成しています。回路図から該当部分を抜き出したのが右の図です。

 Arduinoのように5V系のマイコンではSJ2をオープンにし、STM32のような3.3V系のマイコンではショートさせて使用します。

 ここまではよいのですが、Aliexpressで300円ぐらいで購入できるEasyDriverにはR6/R7の抵抗が回路図の表記と異なっているものがあります。下は実際に管理人が入手した現品の写真です。

 左側は正解でR6=390[Ω], R7=330[Ω]になっています。一方右側の写真はR6=910[Ω], R7=715[Ω]になっています。ちなみにR7は83Aと記載されていますが、これは“EIA-96”という表記法です。

 これの何が問題なのかというとモータードライバへ供給されるロジック電源が変わります。SJ2をショートさせている場合とオープンの場合で供給電圧が変わりますが、まとめると以下のようになります。

    正解 不正解
R6  [Ω] 390   910
R7  [Ω] 330 715
R8  [Ω] 240 240
Iadj  [mA] 5.21 5.21
SJ2 Open Vadj [V]  3.75 8.46 
Vout [V]  5 9.71
SJ2 Short  Vadj
[V]
2.03 4.74 
Vout
[V]
3.28 5.99

 なんと、不正解はショートさせると6V, オープンだと9.7Vもの電圧がモータードライバに加わります。ロジック電圧の絶対最大定格は7Vなので、オープンの状態でいきなり電源を入れると一発ご臨終です。

 管理人の場合STM32で接続するため最初からショートさせて使用したため破壊はされませんでしたが、供給電圧をあげてゆくとなぜかモーターが逆回転し始めました。マイコンへ6Vが行ったため誤動作したのでは?と推測しています。

 ちなみに上記出力電圧の計算方法ですが、LM317の仕様から計算することができます。

  1. VadjとVout間の電圧は必ず1.25VになるのでADJ端子に流れる電流Iadjは1.25/R8 = 5.21mA。
  2. ADJ端子に流れる電流がわかるのでVadj=(R6+R7)*Iadj
  3. Voutは1.25VだけVadjより高いので Vout=Vadj+1.25

で計算しています。

 せっかく中国から1ヶ月もかけて安く手配した結果、使用することもなしに壊すのは無駄なので

電源投入前に抵抗値を確認してください。