TOP > 開発環境構築KiCad > 部品3Dデータ作成

部品3Dデータ作成

(2018.3.25 作成) 

 KiCADでは多くの基本的なデータについては3Dデータが準備されているため、仕上がりを3D表示で確認することが可能です。

 しかしこの世のすべての電子部品が準備されているわけではないので、場合によっては自分で3Dデータを作成する必要があります。そこでこのページでは必要なソフトをインストールし、KiCADで部品の3Dデータを表示するまでを紹介したいと思います。

3Dデータの準備

 3D CADを用いてデータを作成します。ここでは例としてFusion360を使用して作成したSTM32F103C8T6基板のデータを用います。

 ちなみにこのデータはここで公開していますので、誰でも使用することができます。ちなみにGrabcadでも公開しています。

 さて、3Dデータの準備ができればSTEP形式でローカルに保存します。

変換ソフトのインストール

 KiCADの3DデータはVRML形式(*.wrl)なのでSTEP形式から変換を行う必要があります。この変換にはWings 3Dというソフトが使用されることが多いようですが、ここでは公式サイトで紹介されているStepUpというソフトを使用したいと思います。

 Wings 3Dは使用したことがないのですが、どうも色の設定などを個別で行う必要がありそうです。一方StepUpはオープンソースの3D CADであるFreeCADのプラグインとして提供されており、比較的簡単に変換ができるのでお勧めです。

 FreeCAD単体でもフォーマットの変換は可能なのですが、mm → inch変換、色設定や位置合わせなどをStepUpはアシストしてくれるのでこれを利用しない手はありません。

 さて、肝心のインストール方法ですがFreeCADについてはインストーラが提供されているので、特に悩むことはないと思います。一方StepUpについてはひと手間必要です。

 まずFreeCADを起動し、メニューのマクロ→マクロ...をクリックしマクロの実行ダイアログを表示します。

 そしてこのダイアログの下にある「ユーザーマクロの場所」にStepUpをダウンロードして出てきた以下のファイルを置きます。

  • kicad-StepUp-icon.svg
  • kicad-StepUp-tools.FCMacro

しかしこの際、この記事執筆時点だけかもしれませんが2点ほど注意する点があります。

 まず上記のマクロの場所ですが、おそらく”C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming\FreeCAD\Macro”になっていると思います。しかしこのMacroフォルダはFreeCADインストール直後には存在していません。一度ダミーでマクロの記録を行うことで作成されます。

 次にコピーする2つのファイルですが、記事執筆時点のバージョン(V7175)ではダウンロードしたzipファイル中にはdemoフォルダしかなく、それっぽいフォルダがありません。ファイル名で検索すると出てくるのでそれをコピーします。

 StepUpのインストールはここまでです。コピー後にマクロを実行すると右下図のように画面右側にStepUpのペインが現れます

STEPファイルの読み込み、位置合わせ

 ここからは実際の変換作業です。まず最初にKiCADで事前に作成したフットプリントを読み込みます。

 そして次は作成したSTEPファイルを読み込むのですが、この際3Dデータが複数のパーツから構成されている場合は一つの部品として一話早生できるように3Dデータ全体を選択した後ユナイトする必要があります。

 あとは上の図の③あたりのアイコンを使って頑張って位置を揃え、データを保存します。

 保存する際はいくつかウィンドウが現れて何かと聞かれますがすべてOKでいいと思います。

 また、保存するとwrlファイルと同時にSTEPファイルも保存されていますが、これは読み込んだ元のSTEPファイルと異なりスケール変更や向きを調整されたものなのでwrlファイルと同じフォルダに置いておきます。あとでKiCAD上で表示された3DデータをメカCADに渡す際に使用されます。

KiCADでの配置、3Dデータの確認

 ここまでくればあとは少しです。KiCADのフットプリントのプロパティで3Dデータを指定すれば3D表示ができるようになります。

 無事右下の図のようにKiCAD上で3Dデータが表示されました。色もモデル作成時に設定したものが適用されています。

 ここで作成した3Dデータを3D CADに戻す方法をこちらで紹介しています。あわせてご覧いただければと思います。