LiPoバッテリー充電コントローラ(TP4056)

(2019.1.20 作成)

 このページでは右のリチウムイオン/リチウムポリマー充電モジュールについて紹介したいと思います。このモジュールにはコントローラICとして南京拓微集成电路有限公司のTP4056というICが使用されており、日本のAmazonでも1個100円以下で購入することができます。

 ただこのモジュールですが、写真の様に2種類仕様があり、上のモジュールではバッテリー保護ICのDW01が搭載されています。このため使用したいバッテリーが保護ICなし、または有無が不明の場合は上のモジュールを使用することを強くお勧めします。このページの評価等はすべて上側のモジュールを使用したものです。

 また別の安価な充電コントローラ(MCP73831T)について、こちらで紹介していますので、ご興味があればご覧ください。

動作概要

 充電シーケンスは単純です。最初に設定した電流値(左図の場合は1000mA)で定電流充電が開始され、その後バッテリーの電圧が4.2Vにまで上昇すると定電圧充電に切り替わります。

 定電流充電が続き、充電電流が設定値の1/10にまで減ると充電完了です。

 出典元は不明なのですが、このモジュールの回路図は右図のようになっています。DW01AとFS8205Aは保護回路です。こちらに簡単な説明があるので興味があれば見てみてください。

 B+/B-端子にバッテリーを接続して充電を行います。さらにOUT+/OUT-に負荷を接続することで充電しつつ負荷を駆動することができるとされています。こちらについては後で触れます。

 充電電流はPROG端子(2番ピン)に接続されている抵抗値で決めることができます。このモジュールの場合はR3の抵抗ですが初期で1.2kΩが接続されているので、1000mAが充電電流になります。

 バッテリーの寿命を延ばすためには容量までの電流値が良い(1C充電)と言われていますので、例えば400mAhのバッテリーを使用する場合は3kΩに変更して400mA充電にしたほうが良いと思います。

充電テスト

 本当に仕様書通りの動作をするかテストを行ってみました。電源はACアダプタで5Vを作成し、バッテリーとモジュールの間に電流モニタ(INA226)を挟み電流と電圧を同時に計測しました。

 使用したバッテリーは保護回路なしの400mAhのLiPoバッテリーです。

 充電電流1Aと400mAの2種類の設定で充電を行ってみた結果が左図です。

 最初に設定した電流で定電流充電が行われるはずですが、1分程度で電圧が4.2V近くまで上昇するのでほぼ定電流動作は行われませんでした。

 充電終了に関しては1A設定だと100mAで充電が終了しています(その後バタバタしているのはよくわかりません)。一方400mA設定にすると40mAまで充電できています。このことからもやはり使用するバッテリーに合わせて充電電流は設定したほうが良いと思います。

 充電テストをしてみた結果はMCP73831よりずいぶん好印象です。

負荷接続テスト

 上にも書いた通り、このモジュールは負荷を同時に接続できるということなのですが、バッテリーコントローラーからは負荷が電流を引いているのかバッテリーに充電されているのかわからないはずです。どうやってコントロールするのでしょう?

 というわけで実際に以下のような構成で試験してみました。負荷は電子負荷(ZPB30A1)で200mAの定電流負荷とし、充電開始後30分から動作を開始することとしました。

 早速ですが右が試験結果です。負荷を接続しない場合と併せて載せています。30分までは当然ほぼ同じ動作なのですが、30分で負荷をOnにすると電圧が低下し、それと同時に200mAで定電流充電になります。

 これは電圧が下がることでTP4056は400mAでの定電流充電モードになります。その際負荷側に200mA流れるので、バッテリーには200mAで定電流充電になっていると考えられます。

 そのまま200mAで充電を続けるとバッテリーは4.2Vまで充電されるので、定電圧充電に移行します。あとはそのまま充電が継続されるのですが、いつまでたっても充電が完了されません。これは負荷側に200mAが吸い続けられているため、TP4056にとってはいつまでたっても充電終了電流にまで電流が下がらないためと考えられます。

 ということで充電と同時に負荷を駆動することはできるが、充電終了判定ができず、いつまでも充電をすることになる。ということが分かりました。事実上電流が0になるので発煙発火にはならないと思いますが、充電完了ランプがいつまでも消えないので気分はよくないですね。

 同様の実験をこちらで紹介している充電回路でも実施してみました。こちらは予想通り負荷を接続しても充電動作には一切影響を与えていないことが分かります。ということで充電と同時に負荷を駆動する場合は先のページで紹介している回路を形成するのが良いと思います。


コメントをお書きください

コメント: 6
  • #1

    boky (日曜日, 23 8月 2020 23:43)

    Hi, great text, can you add how to fix tp4056 with protection, so that load can be driven at the same time as charging, how to simple to do that? thanks

  • #2

    admin (月曜日, 24 8月 2020 21:52)

    Thanks for comment, boky.
    I was surprised to get in English.

    As I wrote in the last, to charge a battery and to drive a circuit at the same time with protection, you need to add some modification.
    I recommend to read a instruction written by Microchip(AN1149).
    I tried the circuit when I used MCP73831T.
    <https://denshikousakusenka.jimdofree.com/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E9%83%A8%E5%93%81/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E9%96%A2%E4%BF%82/mcp73831/>

    Sorry for my confusing text.

  • #3

    nanasi (木曜日, 25 3月 2021 10:16)

    tp5100も評価して欲しい!!

  • #4

    管理人です (木曜日, 25 3月 2021 22:57)

    TP5100っていうのもあったんですね。存在すら知りませんでした。。
    今買うならこっちの方がよさそうですね!
    ただ今となってはこの評価も2年も前に書いた記事なので、私自身もすっかり中身を忘れてしまってます。。。
    というわけで私はパスですねぇ~

  • #5

    H.K (水曜日, 02 8月 2023 09:37)

    とてもに参考になりました。
    現在18650の充電のみに使っていますがmicrobitへの給電も兼ねようかと思っています。
    記事を読んで出来るだけ充電と放電を同時に行わない様に考えます。

  • #6

    管理人です (月曜日, 07 8月 2023 23:01)

    コメントありがとうございます!
    数か月ぶりに見てみたらコメントをいただいていてびっくりです。
    もう4年も前の記事なのに見ていただいてありがとうございます。
    もし参考になれば幸いです。
    電子工作頑張ってください!!